関東地方も梅雨入りだそうで。
蒸し暑い、濡れれば冷たい、
息苦しい、煩わしい、
なんて雨の日の鬱陶しさを言葉にして
たとえば、毎朝シーツを濡らしてしまう
少女のため息とふくれ面を思い浮かべたりして
きっと明日も雨だろうな、
どこか、自嘲気味に言ってみたりして。
*
明るい未来を予感するときの高揚感。
それを、ときめきと呼んで良いでしょう。
満塁でまわる四番打者の打順
楽しみにしていたおもちゃの発売日前夜、
あなたと会える日を指折り数えて過ごす日々、
待ち焦がれた瞬間が訪れようとするまでの、
もどかしくも、期待に満ちたその間。
わたしが、おもらしやおねしょをしてしまう
女性に対し抱くのは、
まさにそのような「ときめき」に
他ならないのではないか、などと。
入学して間もなく、帰宅途中におしっこを漏らしてしまった少女。
だっていつも授業が長引いて、休み時間にトイレに行けないんだもん。
だからって、授業中にトイレなんて言えないし。
わたし、もともとおトイレ近くて、
小学校でも、けっこうおもらししちゃってるんです。
例えばそう少女がつぶやいたとき、
わたしは彼女に「次のおもらし」を期待せずにはいられない。
その期待は「ときめき」に他ならない。
決してだれにも打ち明けてはならない、
知られてはならない、気づかれてはならない、
暗いときめき。
あるいは、もう一つの名で呼ばれる。
*
だからわたしは明日を待つことができる。

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