黒魔法を主として使う魔法使いを黒魔法士、
白魔法が主であれば、白魔法士と呼ばれるが、
キシン共和国において、魔法使いはさほど珍しいものではなく、
それゆえ、日常生活の中に職業というかたちで、
彼らが活躍する場所は多くある。
黒魔法士であれば、その魔力を建築作業や
土木作業に用いる者が多い。
黒魔法士はいわば、わたしたちのにおける
重機とその操縦士、のような役割である。
その他にも、運搬業、製造業、あるいは農業や水産業など、
人力を越えるちからが必要とされるあらゆる場面で、
黒魔法士は活躍している。
もちろん、攻撃魔法を主とする、
傭兵、用心棒、あるいは警察や軍隊のような
職業もあるのだが、職業としてみた場合、
それらは決して多数派ではない。
回復魔法を用いる白魔法士は、
医療・看護の場面での活躍が多いが、
白魔法はあくまで、生命がもともと持つ
機能を助けるものであり、万能ではない。
そのため、特に医療を生業とする白魔法士は、
魔法と、薬草や薬物などの知識を併用しているものが
ほとんどである。
薬を扱う職業は「薬師」と呼ばれ、薬師自体は
薬の知識があれば魔法使いでなくとも就けるわけだが、
医療行為を主として行う白魔法士であれば、
相応の薬の知識を持っているため、
その意味では薬師と白魔法士は一般的には
区分されていない。
また、白魔法士は、わたしたちにおけるカウンセラーのような、
話術、会話の技術を学んでいるものも多く、
それを生かした職業に就いているものも少なくない。
以上のように、日常生活に広く溶け込んでいる魔法使いであるが、
働き手として見た場合、有能に越したことはことはなかろう。
有能な魔法使いであるかどうかを判断するひとつの、
あるいは最も一般的な基準、それは
「イリーバ魔法学校で学んでいるか否か」である。
イリーバ魔法学校では、魔法についてはもちろんのこと、
広い分野についての専門的な知識、社会に奉仕する人間性、
そして、所作、立ち居振る舞いの美しさなど品性さえ、
その教育内容に含まれている。
イリーバ魔法学校で学んだ、あるいは卒業したものは、
いわば「折り紙つきの」魔法使いなのである。
まぁ、名門校で学んだからといって、すべてがすべて優秀か、
と言われればそうではないような気もしなくもなくもないわけですが。
ともかく、魔法使いとして身を立てたいと願うならば、
イリーバ魔法学校への入学は、その最短の(しかし困難な)、
道であることは間違いない。
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