やられたカンジ。

三和出版さまの

『失禁少女の基礎知識』

を買いましたのですが。

ぎゃああ。

すごいやられた感じ。
　特筆すべきはそのボリューム。
アンケートで収集した、というおもらし体験談が、
可愛らしい挿絵とともに、これでもかと載っています。
　痒いところをばりばり掻いてくれる、
とってもとっても良くできた一冊。
やられた。

春眠、あかつきを。

　寒い朝。
　満開の桜。
　しっとりぬれた花片の、はじらうような薄紅。
　雫のしたたる間、失われる熱。
　やっちゃった。
　さっきまで、確かに覚えていたはずなのに。
　春眠、一炊の夢、
　おしっこ、って思ったときには、
　もうお腹のあたりまであったかくなっていて、
　あれ、おかしいな、
　でも、おしっこしなきゃ、
　ぎゅって力をいれて、
　うん、みんな出しちゃえ。
　気がつくと、もうシーツまでびっしょり。
　あわててとび起きて、
　考える暇もなく、体は洗濯機の前。
　パジャマは上まで濡れていて、
　考える暇もなく、はだかになって、
　あれ、着替えないじゃん、
　なんて気がつく。
　春なのに、寒い朝がいけないんだ。
　雨が降っているからいけないんだ。
　桜がこんなに、きれいだから。
　だから。

おねしょっていいですよね。

びねつびょうとう。

　病院で順番待ちをしていたら、
階段をすごい勢いでナースさんがおりてきて、
そのまま診察室脇の女性トイレに飛び込んで
行きました。
若い、栗色の髪の、今風のナースさんでした。
　トイレに入る前から、パンツの腰あたりに手をかけて、
すぐに脱げるよう準備をしていたみたいに見えましたから、
そうとう切羽詰まっていたのか知らん。
大変なお仕事ですものね。
　
　余談ですが、ナース服。
スカートワンピも素敵ですが、パンツスタイルも
かわいらしいと思います。
おもらししたらばっちりめだっちゃうしね！

　さらに余談ですが、病院。
おむつは常備だし、お風呂場あるし、洗濯もできるし、
おもらしあそび、し放題なんじゃないかな。
不謹慎か。
こっちは血まみれだぞ！
おしっこにまみれてる場合じゃない！
すみません。あそびじゃなかった。

おもう、春。

桜が咲き始めました。
春です。
春になるとわくわくします。
似ている、思春期のわくわく。
思春期を遠く過ぎてなお、思春期について
思うことはわくわくします。
あちらこちらで花が咲いて、虫が湧いて、
風が吹いて、ぬるい水、それらの残酷な、
まじわり。
思春期を描くことは、春を描くこと。
永遠の春でなく、残酷であった、春。

　からだのなかで、めざめた春は、
　あいされたい、
　血管の水路をとおって、くるくるめぐる、
　あいされたい、
　夜のあいだ、だれにも見られず、
　あいされたい、が、
　きりきり育って、いっぱいになって、
　口からあふれだすかわりに、
　春の昼下がり、
　日なたの、ぬるい水に、
　流れていった。

あたたかなひざし、と。

拍手をいただいています。ありがとうございます。
（短編のタイトル間違いについてご指摘くださった方、
　ありがとうございます。さっそく修正いたしました）

ひだまりぽかぽかですね。
おもらしのあたたかさはひだまりに似ている気がします。
すぐつめたくなっちゃうけど！
　おもらしそのものの魅力として、
「その瞬間のあたたかさ」、
があると思うんです。

　真夏にはまだ少し早い季節、訪れた屋外プール。
　お天気もこの日はいじわるで、重たい雲が居座っていて。
　ひとしきり遊んだころ、ふいに聞こえるおしっこの呼び声、
　あわててプールから上がろうとするけれど、
　疲れたからだは思ったほど機敏には動いてくれなくて。
　やっと水辺を離れると、はじめて来たプール、
　おトイレがどこだか分かりません。
　冷えた水着にまとわりつく、つめたい風。
　つまさき立ちしながら早足で、やっととびこむ個室。
　うそ、和式だけ？
　ちょっとためらったそのとき。
　どうせ水着だし、いいよね？
　聞こえた、ささやき声。
　あっ、と思った瞬間、
　こわばったからだのそこだけが、ふわり、
　軽くなって。
　あふれていくあたたかさ。
　だれもいないおトイレ。
　差し込むくもりの日のひざしはやわらかくて。
　無機質なタイルのそこだけ、
　ひだまりみたいにぽっかり。
　軽くなって、とけていって。
　わたし、おもらししてる。
　誰に言うわけでもないけれど、
　伝えたかった。
　あたたかさ。